四万温泉エール|山田 博史(やまだ ひろし)

  • 2017年12月25日
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四万生まれ、3種類の「四万温泉エール」

クラフトビア。地ビールともいわれるが、何年か前から聞かれるようになり、もはや一般に定着するようになった単語である。むずかしい定義は置いておいて、クラフトビアの最大の魅力はその土地その地域の個性を反映させ、生かしたもの。その土地を味わえるビールというところだ。

中之条町が誇る温泉地のひとつ、四万温泉。ここには四万生まれのクラフトビア、「四万温泉エール」がある。その個性は、四万温泉ならではの「水」。温泉をはじめとした四万川の源流より湧き出る「清らかな四万の水」から生み出されている。3種類ある四万温泉エールをご紹介。「ペールエール 摩耶姫」、「アンバーエール 甌穴」、「スタウト 夜の訪れ」。四万にちなんだ名前にしようと四万にある名所や伝説から名付けられた。四万温泉山口地区にある酒店「わしの屋」の主である山田博史さんが、その製造者。山田さんで三代目で、店ではさまざまな地酒を取り揃えている。

「この場所、四万で作られている」こと

実のところ筆者は酒の知識が皆無。そんな筆者と共に、まずはビールの基礎知識のおさらいから。
ビールについて。ビールとエールの違いってなんですか!?

「酵母の違いですね~。日本で売られている大手飲料メーカーのビールは、ラガービールといわれるものでラガー酵母、エールはエール酵母がつかわれます。」

なるほど、酵母。ビールは、大麦麦芽の酵母がだす酵素を利用し発酵させてつくりだす。そのとき使われる酵母の違いがビールの種類を決定する要素のひとつなんだそう。

じつはビールの種類って、細かく分類していくと、世界中に100種類以上もあるらしい。その分類を「スタイル」という。私たちが一般的なビールと思っているラガービールは、そのうちのほんの一種類なのだ。それら色とりどりのビールの分類、特色を生み出すのは酵母の違いだけではない。ホップも重要な役割を果たしている、と山田さんは言う。ビール独特の苦みや風味はホップによるもの。そして、それらの個性の幅をさらに広げるのが、「クラフトビア」なのだ。その醍醐味は、作られた土地や地域そのものでもある。山田さんの言葉を借りれば「この場所、四万で作られている」ということ。それが一番のこだわり、と。四万で生まれ、ここに来なければ味わうことができないもの。取材中にも、このお店で買えると聞いて・・・と四万温泉エールを買い求めるお客さんの姿があった。

その場で味わう生ビール

店内では生ビールを買うこともできる。3種類のどれにめぐり逢えるは運しだい。生ビールを飲んだお客さんが、美味しかったと土産に買っていってくれる姿に、「その場でお客さんの反応が見られるのは、作り手としての喜びを感じる瞬間ですね」と顔をほころばせる。「呑むのも大好き」という山田さん、なにより楽しみながら作っている様子がとても印象的だった。

取材後に、店の前にあるバス停のベンチに腰を掛け温泉街を行くバスを横目に、山田さんに注いでもらったペールエールに口をつけた。きめ細かい泡のあとに澄んだエールが喉を通り抜けていく。「ぷはーっ」と息を吐くと華やかな香りが広がった。わし屋で四万温泉エールを買ったなら、こんなふうに四万を吹き抜ける爽やかな風に吹かれつつ、ホロ酔ってみてはいかがだろうか。